【レビュー】洋書 Souvenirs Dormants 眠れる記憶(未邦訳)

2021年6月11日

こんにちは。和泉 涼です。今回はパトリック・モディアノがノーベル文学賞を受賞した後に出版した小説をご紹介します。

出版

ガリマール社 2017年

ストーリー

記憶の底に眠る名前、通りの名前、年代。何年も思い出さずにいても、些細なことで鮮明に思い出すことがあります。

この小説で筆者は「永遠の帰還」とよべる、不意に蘇ってくる記憶を整理することに試み繋ぎ合わせて見事な小説にしました。

あなたも子どもの頃の遠い記憶や若い頃に出会った人々の記憶に揺り起こされたことがありませんか? 

テーマ

時間・名前・場所。記憶に紐付けされた3つの要素。この一つでも刺激すると途端に記憶の扉が開いて、長い間考えたこともないできごとを鮮明に思い出す。人間の脳のメカニズムを辿る記憶の中の旅がテーマです。 

モチーフ

記憶の迷路を辿っていくと、その頃の知人、彼らと一緒に行った場所などを鮮明に思い出すことがあります。上手に繋ぎ合わせると、記憶だけで人生を辿っていくことができるのでしょうか?

『失われた時のカフェで』では主人公の恋人のジャクリーヌは神秘の力について興味を抱いて関連の本を読む姿が印象に残りました。ここでも同じテーマが登場しますが、今回は「作者が昔知っていた誰か」ではなく作者自身。

きっと作者自身も20代前半の頃に心を惹かれた分野なのでしょう。

「神秘」の要素を上手に織り込んで、複雑に絡む時間・人・場所の謎を解く挑戦はみごとなラストを迎えます。  

作者について 

詳しくはこちらをご覧ください。

最後に

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

次回をお楽しみに! A bientôt!!

和泉 涼

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