【レビュー】洋書 Fume et Tue par Antoine Laurain 「タバコと殺意」(未邦訳)作/(『ミッテランの帽子』『赤いモレスキンの女』の)アントワーヌ・ローラン

あらすじ

ファブリス・ヴァランティン(50歳)はコンサルティング会社でヘッドハントが専門の会社員。ヘビースモーカーだが良き夫、優しい父親。ひとことでいえば特に取り柄のない人間だった。

それが2007年の健康増進法が施行された直後に気がつくと職を失い、妻に離婚され、4人もの人を殺した犯罪者になってしまった。

何が彼を殺人へ駆り立てたのか?

タバコが吸えなくなったことが引き金になったのは明らかだった。するとタバコと出会ったあの日から殺人者になるさだめだったのか?

主人公の長い独白が始まる。タバコとの出会い、禁煙した理由と方法、会社の同僚や友人たち、生意気盛りの娘との親子の関係、妻との関係。

そして図らずも連続殺人犯になってしまった男の人生が浮かび上がる・・・。

テーマ

タバコと人生

ファブリスは大のタバコ好き。出勤後に一服、一仕事終えて一服、ちょっと考え事をしながら一服、待ち合わせ場所に早く着いたから一服・・。こんな調子で1日2箱も吸うヘビースモーカーだ。

17歳の夏に親元を離れてノルマンディで過ごしたバカンスで、友だちに勧められて生まれてはじめてタバコを吸ってみる。1本目からすっかりハマり、自分が天性のスモーカーであると確信する。それから大学生、社会人になりタバコは人生のもう一人の伴侶のようにいつも寄り添っていた。

2007年、健康増進法が施行されると、スモーカーは一斉に外へ追い出された。ファブリすもまたその一人。禁煙の波は家庭の中にも入り込み、妻に催眠術で禁煙できる方法があるので試してほしいと言われる。

催眠療法を受けるとタバコが吸いたくなくなった。これでタバコとお別れかと少し寂しい気持ちになった頃、不意にタバコが吸いたくなった。

「もう催眠療法の効果が薄れてきたのか」と喜んでタバコに火をつけると・・・タバコの味も、香りも、煙が肺を通り抜けるときの爽快感、現実から解き放たれる開放感が全く感じられなくなってしまっていた!!

その後ある事件をきっかけにファブリスは発見してしまう。タバコの快感は殺人を犯した直後に戻ってくると・・・。

作品のタッチ

主人公はタバコさえ吸わせてもらえば他に望むものはなかったのに、タバコが吸えなくなったために、タバコを味わいたいがために殺人に手を染めてしまう、という皮肉な展開になります。

殺人の対象はみんな人類全体に害を与えることはなくても、家族や近しい人に害を与える人物ばかり。ファブリスが運命の手になって有害な4人を始末すると言えなくもないのですが、そのために残りの人生を塀の中で過ごすハメになる点で憂いに満ちたラストが印象的です。

翻訳

英語版:2019年に「Smoking Kills」のタイトルで出版。紙図書・電子書籍があります。

Audible版あります。

ドイツ語版:2019年に「Die Zigarette danach」のタイトルで出版

作者アントワン・ローラン(Antoine Laurain)プロフィール↓

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まとめ

タバコ好きの人物が登場する小説はたくさんありますが、タバコを吸う喜び・楽しみがこれほど細かく描かれた小説はじめてでした。タバコが好きなら「そうそう!」と思わず納得するシーンが次々と登場します。

タバコは健康を害する原因となりますので、絶対にマネしないでくださいね。

この作品は未邦訳なのは本当に残念ですが、英語・ドイツ語で楽しむことができます。

ではまた。A bientȏt!

和泉 涼

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