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検索結果: Antoine Laurain

【レビュー】洋書 Et Mon Coeur se Serra par Antoine Laurain&Le Sonneur 「心が泣いた・・」(未邦訳)著/アントワーヌ・ローラン&ル・ソナール

2021年3月4日 by Izumi Ryo

こんにちは。今回はフランスで話題のこの作品をご紹介します。『赤いモレスキンの女』のアントワーヌ・ローランの最新作です。

今回はアーティストのル・ソナールさんと愛をテーマにした「文章とイラストのコラボ作品」を出版されました。

フランスをはじめヨーロッパでは2月3日かあ好評発売中です。海を超えて荷物を発送してくれるAmazonさんのおかげでIzumiも購入しました。中身は・・・素晴らしい作品です。

あらすじ

愛する人が去っていった。彼女は二度と戻ってこない。実は少し前から彼女の心はここにあらずだったけど、僕は認めるのが怖かったんだ。

彼女は去ってしまった。今度こそ本当に。

僕はどうしようもないくらいうろたえている。ジタバタしている。昼も苦しい。夜も苦しい。もうダメかも知れない。一体いつまで続くのだろう?

この世の終わりが来ても立ち直れなかったらどうしたらいい・・・?

現代のラブ・ストーリー

愛をどう描くか。これはずっと昔からの普遍のテーマ。時代ごとにいろいろなアーティストが挑戦してきました。

小説家は文章を、詩人は散文を、唄い手は歌詞とメロディを使って挑戦しその度に世にすばらしい名作をたくさん残してきました。

ほんの一部をご紹介しますと、20世紀の悲劇の詩人アンドレ・ブルトンも、19世紀の詩人ステファーヌ・マラルメも、20世紀の歌手・作家・アーティストとして知られたセルジュ・ゲンスブールもそれぞれに貢献してきました。

彼らは普遍のテーマに挑むたびに光り輝く名作をこの世に永遠に残してくれたのです。

21世紀を迎えた今日、フランスの小説家とグラフィック作家がこのテーマに挑みました。

日本で『赤いモレスキンの女』がヒット中の小説家アントワーヌ・ローランと東京のギャラリーで個展を開催中のアーティスト、ル・ソナールの二人です。

彼らが創りあげたのは愛をテーマにした、文章とイラストのコラボによる美しい作品です。

一般的な小説とは違って、イラストが文章を補うのではありません。

アントワーヌ・ローランが書いたオリジナルの文章28点とル・ソナール118点のイラストがお互いに共鳴しながら一つの物語を語っています。

中を覗いてみると文章が傾いていたり、タイトルがひっくり返っていたりと、文章自体がユニークな形カタチをしています。

そして赤と黒のイラストは白いページを切り込むようにランダムに並べられています。

愛を失った主人公はハシゴを手に心の旅に出ました。ハシゴだけで彼を待ち受ける試練を乗り越えることができるのでしょうか。 

モチーフ

『神曲』のダンテの愛

ルネッサンス期に活躍したダンテが生涯でただ一人の女性を愛しました。二人の出会いはある昼下がりにすれ違っただけ。

ダンテは一瞬見たその彼女を生涯愛し続け、彼女に詩をいくつも捧げました。こうしてその女性も歴史に名を残しましたーベアトリーチェ。

20世紀の悲劇の詩人アラン・フルニエの愛

19世紀後半に生まれたアラン・フルニエも生涯ただ一人の女性を愛した詩人。彼は18歳の春に通りですれ違ったイヴォンヌ・トゥッサンに恋をしました。

フルニエは後を追いかけて彼女とことばを交わしますが、彼女にはすでに結婚を約束した人がいました。彼女は友だちになりたいと言ってくれました。

彼は彼女と生涯を過ごしたかったのです。

8年後にフルニエは名作を発表したのちに第1次世界大戦の戦線へ。彼はその殺戮の中で命を落としました。遺体は連隊ごと共同墓地に投げ込まれ、ようやく見つかったのは1991年でした。

作品のコンセプト

ル・ソナールが新作のイラストを書き上げた頃、友人のアントワーヌ・ローランと「このイラストに文章をつけてみようか?」という発想が生まれました。

そこからこの作品が生まれたのです。

文章はイラストを説明するのではなく、文章はイラストが共鳴するかのように書かれました。だからイラストが物語の続きを語ることもあるのです。

またル・ソナールの作品を見ていただけるとお分かりいただけますが、白い紙の上にペンで描くだけでなく、描くことで切り取った空間の反対の空間にも注目します。そのコントラストが作品の人物の複雑な心境と重なり味を出します。

詳しくはこちらの記事:作者インタビュー(完全訳)へ

作者のプロフィール

アントワーヌ・ローラン Antoine Laurain

2007年に小説家デビュー。2012年に発表した『ミッテランの帽子』は世界的にヒットしました。また2014年の『赤いモレスキンの女』は映画化が進行中だとか。作品は今回で9作目になります。

詳しくはこちらへ。

ル・ソナール Le Sonneur

普通の街角に赤い呼び鈴を貼り付けたり、ドアの下にラブレターを挟んだりと通りの家の玄関と連携する形でアート活動を展開するアーティスト。日本でも度々個展を開催しています。

詳しくはこちらへ。

翻訳

英語版がイギリスのGallic Booksから2022年に発売予定。Amazon.jpではすでに予約受付が始まっています。 

この本の購入方法(アマゾン)

アマゾンJPでの買い方はこちら。

送料がかかりますが、Amazonの場合は他の請求がなく安心して購入しています。

まとめ

いかがでしたか。

この詩集は『僕の失恋日記』ともいえる素朴なもの。そして嘘や大げさな言い回しがない表現も印象的でした。

愛する人に去られた胸の痛みをジュピターの稲妻を受けたかのように・・・などと壮大に表現することもできたでしょう。でもそうはせずに、等身大の素朴なことばで綴ることを選んだことがこの作品にスケール感を出しているのはいうまでもありません。

そうして「僕」の失恋の話は、ほかの誰かの失恋のお話でもあり、みんなに当てはまる失恋のお話になることができたのです。

初めてこの本のことを知ったときに、セルジュ・ゲンズブールの歌が頭をよぎりました。「〜の別れ」みたいにカッコいい表現ではなくて、『今日出ていくよと伝えにきた』という素朴なことばがタイトルにも歌詞にもそのまま使われていました。

素朴なことばほど心に響くものですね。

同様に『ミッテランの帽子』、『赤いモレスキンの女』の作者のアントワーヌ・ローランと赤と黒と白のイラストで知られるル・ソナールが創った作品についてみなさんとシェアできてこんなに嬉しいことはありません。

日本で邦訳が早く出ることをお祈りしています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

次回をお楽しみに! A bientôt!!

和泉 涼

Filed Under: アントワーヌ・ローラン 関連タグ:Flammarion, Le Sonneur,  紙書籍

速報 ”Et Mon Coeur Se Serra” par Antoine Laurain & Le Sonneur「その時僕の心は・・・」著/アントワーヌ・ローラン&ル・ソナール(未邦訳)  2月3日から好評発売中!

2021年1月2日 by Izumi Ryo

作品の紹介

『赤いモレスキンの女』の日本語版が出たばかりのアントワーヌ・ローランの最新作。

コンセプト

アントワーヌ・ローランの短編28点と注目のストリート・アーティストのル・ソナール(le_ Sonneur)のイラスト119点で綴る、ちょっと変わったラヴ・ストーリー。

アートと文学の間で奏でる、絵で描かれた小説と活字になった詩の微妙なハーモニー・・・。

愛されていた女性の名は分からない。けれど彼女の存在はいたる所に感じられる。

ストーリー

愛、別れ、孤独、望み。

複雑な感情をどうやって赤・黒・白の3色で伝えられるのか?

どう表現すれば、26しかないアルファベットの文字で通じるのか?

これまで多くが挑んできた。アンドレ・ブルトンも、ステファン・マラルメも、セルジュ・ゲンスブールも。名前をあげればキリがない・・・。

次の挑戦者はアントワーヌ・ローランとル・ソナール。

できあがったのは秀品か、それとも傑作か・・・。

アントワーヌ・ローランの紹介

こちらをご覧ください

ル・ソナール(Le_ Sonneur)の紹介

ル・ソナール(Le_ Sonneur)は誰?

アーティスト。「Il(彼)」、「Elle(彼女)」、「MON AMOUR(マイ・ラヴ)」などのキャッチフレーズを特製の赤い呼び鈴フレームにセットして、建物の入口の呼び鈴近くに貼り付ける。

こんなストリートとのコラボレーションで「特徴のない場所に個性を持たせる運動」を展開。

アメリカ、メキシコでこの活動を始めフランスに帰国後はパリで活動中。パリ、東京、メルボルン、デュバイなど世界中で個展を開いている。

ル・ソナール(Le_ Sonneur)の活動をチェック

公式ホームページ :lesonneur.com

イ ン ス タ グ ラ ム : https://www.instagram.com/le_sonneur/

百聞は一見にしかず。ビデオをチェックしてみて! ↓

発売日

2021年2月3日(水)から好評発売中(フランス)

英語版も2022年2月発売予定

この本のレビューを改めて掲載しますのでお楽しみに!!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

次回をお楽しみに! A bientot!

和泉 涼

Filed Under: アントワーヌ・ローラン 関連タグ:Le Sonneur, poeme

【レビュー】洋書 Le Bureau des Manuscrits par Antoine Laurain「出版企画室」(未邦訳)作/アントワーヌ・ローラン(『ミッテランの帽子』『赤いモレスキンの女』の作者)

2020年12月28日 by Izumi Ryo

あらすじ

ヴィオレーヌ・ルパージュ(44歳)はパリの敏腕編集長。スティーブン・キングとのミーティングを終えフランスへ戻る途中に飛行機事故に巻き込まれて昏睡状態に陥る。

パリの出版社には作家の卵が送りつけてくる原稿が毎日何十通と届く。出版企画室では届いた原稿を数人の担当者が読んで出版すべきかどうかを検討する。

ルパージュ女史不在の折、『砂糖細工の花』というタイトルの小説が届き担当者は全員一致で出版の話が一気に進む。

契約が郵送のやりとりだけで終わり作者の正体が分からない。

ヴィオレーヌは昏睡状態から目覚めて職場に復帰する。『砂糖細工の花』の作者は依然分からない。謎は深まるばかり・・・。

小説は出版されるとあっという間にベストセラーになった。そしてゴンクール賞を受賞する可能性まで出てきた。依然、作者が誰か分からない。

ルーアン郊外の森で『砂糖細工の花』で描かれている殺人が現実に起きた。担当の刑事は何らかの形でヴィオレーヌの過去と関わりがあると睨む。

小説の殺人が現実になる、そんなことがありえるのか?事件の真相とヴィオレーヌの過去にどういうつながりが?謎は深まっていく・・。

魅力的なテーマ 

フィクションと現実

小説で描かれた犯罪が現実に起こる、こんなことがあり得るのか。フィクションと現実の境は?「夢か現(うつつ)か」、「狂気か正気か」の終わりのない疑問の輪にはまってしまいそうですが、ラストで解決するのでご心配なく!

アイデンティティの探究

職場に復帰したヴィオレーヌは机の引き出しにタバコ・ライター・灰皿を見つけるがタバコを吸った記憶はない。ワードローブには買った記憶のない服がたくさんかかっている・・・。

「私はいったい誰?」鏡に映った自身に問いかける、正気と狂気の境いがぼんやりしはじめる。疑問が渦巻いて耐えられなくなったとき、ストーリーは一気にラストへ・・・。 

フランス文学へのオマージュ

ヴィオレーヌは文学好きで、売れる本を見分ける才能に恵まれた編集長。彼女が職場復帰すると久しぶりのヒット作をめぐって疑問が絶えない。

そんな彼女を励ますように大好きな作家たちが心の中で現れるシーンが登場します。

マルセル・プルースト、ジョルジュ・ペレック、パトリック・モディアーノ、ミッシェル・ウェルベック、ヴァージニア・ウルフ・・。

作者が得意とする巧みな演出で心温まりシーンが印象に残ります。

作者と読者のランデブー?

1ページ目の1行目。主人公のヴィオレーヌが昏睡状態から目覚めるシーン。

ここにマルセル・プルースト、パトリック・モディアノ、ミッシェル・ウエルベック、バージニア・ウルフなどの作家たちが病室に座っているシーンが登場。

作者が私たち読者と憧れの作家たちを会わせてくれたような、思わないプレゼントをもらったような嬉しい気分になります!

作品のタッチ

ジョルジュ・シムノンの「ロマン・ノワール」のような雰囲気とこの作者らしい明るい雰囲気が交互にストーリーを紡ぐ魅力的な作品です。

2作目の『タバコと殺意』で刑事モノへの愛着が感じられましたが、ここで本格的に味わえます。

最後はもちろんアントワーヌ・ローラン「マジック」で安心して本を閉じることができます。 

評価

・「A Parisian Perfection」Her Royal Highness the Duchess of Cornwall.

 →「完璧なパリの傑作。」としてコーンウォール公爵夫人が4月に発表したお

   すすめ小説に選ばれました。

翻訳

英語版

「The Readers’ Room」として出版 

翻訳はGallic BooksのJane Aitken,Emily Boyce,Polly Mackintosh)

ここで購入しました

IzumiはAmazonで購入しました。それぞれの購入ページをご紹介します。

フランス語版の購入ページはこちらから。

英語版はこちらから。

作者アントワーヌ・ローランのプロフィール 

こちらをご覧ください

作者アントワーヌ・ローランのほかの作品

こちらをご覧ください 

最後に

本作品はアントワーヌ・ローランの待望の最新作。

前作の「ヴィンテージ1954」では」SFさながらのメインテーマに人間ドラマが絡む、ちょっとコミカルで心あたたまるお話でした。

今回は本格的な「ロマン・ノワール」にヒューマンドラマが絡んだストーリー。感動的なラストが印象的です。

邦訳がまだですが、オリジナルのフランス語版、英語版をお楽しみいただければと思ってご紹介しました。 

お楽しみいただけましたか?

次回をお楽しみに! A bientȏt!

和泉 涼

Filed Under: アントワーヌ・ローラン 関連タグ:紙書籍 Flammarion J'ai Lu thereaders'room

【レビュー】洋書 Carrefours des Nostalgies par Antoine Laurain「ノスタルジーの交差点」(未邦訳)『ミッテランの帽子』『赤いモレスキンの女』の作者アントワーヌ・ローラン作品

2020年12月27日 by Izumi Ryo

lire l’article en francais / この記事をフランス語で読む

あらすじ

フランソワ・ウルトゥヴァンは町長選挙に敗れてしまった。なぜ対立候補と200点もの差がついたのか誰も分からない。落選したことだけは間違いない。当選したら公務に忙殺されることを覚悟していたのが一転して予定がなくなった。電話もならなくなった。世間から忘れられたみたいに・・。

庁舎から引き上げた大量の荷物の中から高校を卒業した頃の写真が目についた。未来に目を輝かせたティーンエイジャーの中の背の高い痩せた若者。今の自分と別人に思えた。懐かしさが込み上げてみんなに会いたいと思った。

シークレットサービスの友人に頼んでかつてのクラスメートの住所を手に入れた。こうしてフランソワの心の旅が始まる。

やがてそれはジュネーヴの銀行の隠し口座の謎や暴かれるはずのなかった秘密、そして誰にも見つからないはずの選挙の自動集計のからくりを暴くことになるとは知る由もなかった・・・。

テーマ

思い通りに生きるだけが人生か

フランソワ・トリュフォーに憧れて映画の世界に入ったクレマンはアダルト映画の制作者に、みんなが憧れたマドンナのマルジョリーは高級コールガールに、シャイで物静かな少年だったジェロームは神父になっていた・・・。

かつてのクラスメートの人生を見た時、フランソワの心に勇気が戻り人生を取り戻す活力がみなぎってくる。いつも順風満帆とは限らない。そういう時こそ支えになるのが友情と人生の伴侶の愛情なんだ。

人生を取り戻す勇気が湧いて逆境に立ち向かっていくラストが大きな感動を運んできます。

お互いを支える夫婦の愛

主人公の妻は親から継いだレストランを営むオーナーシェフのソフィーは落ち込む夫を支える励まし、主人公の心のよりどころとなる存在。

若い頃に親からレストランを継いだ頃、女性シェフが少ない時代で逆風が吹き荒れた。そんな時に支えてくれたのが夫だった。今でも彼を一番の理解者として信頼し新しいレシピを作るときも毎回相談している。長年支え合った夫婦の愛が美しく描かれています。

作品のタッチ

Izumiがこの小説を読んだのは『ミッテランの帽子』と『赤いモレスキンの女』を読んでから。2つの作品の作風に魅了されて作者のルーツが知りたいと思いました。3作目の本作ではじめて主人公を通して5人の人物を語るという手法が用いられています。のちの作品のルーツを強く感じます。

英訳も邦訳もないのはとても残念ですが縁があったらお手に取ってみていただきたいと思ってご紹介しました。

アントワン・ローランのプロフィール

 こちらをご覧ください

アントワン・ローランのほかの作品

 こちらをご覧ください

ご購入方法

J’ai Luから出た文庫版の表紙

Amazon.co.jpでご購入いただけます。

まとめ

Izumiがこの小説を読んだのは『ミッテランの帽子』と『赤いモレスキンの女』を読んで後のこと。2つの作品が大好きだったので、作者のルーツが知りたくなったからでした。

3作目となる本作ではじめて主人公を通して5人の人物を語るという手法が用いられていて、のちの作品のルーツを感じました。

いかがでしたか?最後までお読みいただきありがとうございました。

次回をお楽しみに! A bientȏt!

和泉 涼

Filed Under: アントワーヌ・ローラン 関連タグ:Le Passage 紙書籍 

【レビュー】洋書 Fume et Tue par Antoine Laurain 「タバコと殺意」(未邦訳)作/(『ミッテランの帽子』『赤いモレスキンの女』の)アントワーヌ・ローラン

2020年12月26日 by Izumi Ryo

あらすじ

ファブリス・ヴァランティン(50歳)はコンサルティング会社でヘッドハントが専門の会社員。ヘビースモーカーだが良き夫、優しい父親。ひとことでいえば特に取り柄のない人間だった。

それが2007年の健康増進法が施行された直後に気がつくと職を失い、妻に離婚され、4人もの人を殺した犯罪者になってしまった。

何が彼を殺人へ駆り立てたのか?

タバコが吸えなくなったことが引き金になったのは明らかだった。するとタバコと出会ったあの日から殺人者になるさだめだったのか?

主人公の長い独白が始まる。タバコとの出会い、禁煙した理由と方法、会社の同僚や友人たち、生意気盛りの娘との親子の関係、妻との関係。

そして図らずも連続殺人犯になってしまった男の人生が浮かび上がる・・・。

テーマ

タバコと人生

ファブリスは大のタバコ好き。出勤後に一服、一仕事終えて一服、ちょっと考え事をしながら一服、待ち合わせ場所に早く着いたから一服・・。こんな調子で1日2箱も吸うヘビースモーカーだ。

17歳の夏に親元を離れてノルマンディで過ごしたバカンスで、友だちに勧められて生まれてはじめてタバコを吸ってみる。1本目からすっかりハマり、自分が天性のスモーカーであると確信する。それから大学生、社会人になりタバコは人生のもう一人の伴侶のようにいつも寄り添っていた。

2007年、健康増進法が施行されると、スモーカーは一斉に外へ追い出された。ファブリすもまたその一人。禁煙の波は家庭の中にも入り込み、妻に催眠術で禁煙できる方法があるので試してほしいと言われる。

催眠療法を受けるとタバコが吸いたくなくなった。これでタバコとお別れかと少し寂しい気持ちになった頃、不意にタバコが吸いたくなった。

「もう催眠療法の効果が薄れてきたのか」と喜んでタバコに火をつけると・・・タバコの味も、香りも、煙が肺を通り抜けるときの爽快感、現実から解き放たれる開放感が全く感じられなくなってしまっていた!!

その後ある事件をきっかけにファブリスは発見してしまう。タバコの快感は殺人を犯した直後に戻ってくると・・・。

作品のタッチ

主人公はタバコさえ吸わせてもらえば他に望むものはなかったのに、タバコが吸えなくなったために、タバコを味わいたいがために殺人に手を染めてしまう、という皮肉な展開になります。

殺人の対象はみんな人類全体に害を与えることはなくても、家族や近しい人に害を与える人物ばかり。ファブリスが運命の手になって有害な4人を始末すると言えなくもないのですが、そのために残りの人生を塀の中で過ごすハメになる点で憂いに満ちたラストが印象的です。

翻訳

英語版:2019年に「Smoking Kills」のタイトルで出版。紙図書・電子書籍があります。

Audible版あります。

ドイツ語版:2019年に「Die Zigarette danach」のタイトルで出版

作者アントワン・ローラン(Antoine Laurain)プロフィール↓

こちらの記事をご覧ください

作者アントワン・ローラン(Antoine Laurain)のほかの作品↓

こちらの記事をご覧ください

ご購入方法

英語版紙書籍のご購入はこちら↓

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※Amazonでもご購入いただけます。

英語版電子書籍のご購入はこちら↓

リンク

※Amazonでもご購入いただけます。

まとめ

タバコ好きの人物が登場する小説はたくさんありますが、タバコを吸う喜び・楽しみがこれほど細かく描かれた小説はじめてでした。タバコが好きなら「そうそう!」と思わず納得するシーンが次々と登場します。

タバコは健康を害する原因となりますので、絶対にマネしないでくださいね。

この作品は未邦訳なのは本当に残念ですが、英語・ドイツ語で楽しむことができます。

ではまた。A bientȏt!

和泉 涼

Filed Under: アントワーヌ・ローラン 関連タグ:紙書籍 Le Passage Smoking Kills

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