【レビュー】愉快な農場 著/マルセル・エーメ
あらすじ
デルフィーヌとマリネットはお父さんとお母さんと猫と犬と・・・牧場の動物たちと仲良し。いつも忙しい大人と違って少女たちがあまり優しいので知恵のある猫が二人に「人生のためになる話」を聞かせます。
お話は全部で17編。個性的なキャラクターとワクワクするストーリーが魅力的な作品。
☆猫の手のおはなし
ゆかいな牧場ではデルフィーヌとマリネットにお話を聞かせる知恵のきく猫アルフォンスが住んでいました。この猫が寝る前に前足で耳をこすると翌日は必ず雨が降ります。もう8日間も雨ばかりで農作業ができないパパとママはたまりかねてとった行動とは・・・?
☆雌牛のおはなし
牧場の雌牛たちを毎日牧場へ連れて行くのがデルフィーヌとマリネットのお仕事。雌牛たちは二人と仲良しでしたが、コルネットという雌牛だけはパパとママに、二人が何をしたかだけでなく「しなかったこと」まで細かに報告するの嫌われ者でした。
その日コルネットはみんなと言い合いをして群から離れ、それきり姿が見えなくなってしまいました。ちょうど街外れにジプシーたちがキャンプしていました。いったい誰がコルネットを隠したのでしょうか。ジプシーたちでしょうか、それとも・・・。
☆盲人と犬のお話
マリネットとデルフィーヌがお使いの帰りに目の見えない迷い犬と出会います。犬はもとは目の不自由な男に飼われていましたが男の不自由な目をもらったのだといわれ・・・。
☆オオカミの涙のおはなし
オオカミはお腹を空かせると村人や動物を食べてしまうので、みんなの嫌われ者。友だちのいないひとりぼっちのオオカミは、ある日ゆかいな牧場のデルフィーヌとマリネットを残してパパとママが出かけるのを見かけます。オオカミは台所の窓から少女たちに中に友だちになってほしいと涙を浮かべて頼みますが・・。
日本語への翻訳
日本では『ゆかいな牧場』のタイトルで出版(2010年)
リンク
・アントワーヌ・ローランの著書『赤いモレスキンの女』(La Femme au Carnet Rouge)で「幼い子どもにまず読ませたい本」として紹介されました。
フランスでは子どもに文学の楽しみと人生の確かな価値観を教えたいと思うならこの「ゆかいな牧場」がオススメといわれます。お話を聞くだけでなく聞き手の子どもたちに考えさせつつ読み進められる点が長い間評価されているポイントです。
まとめ
子どもの情操教育にいい本といえば、イギリスがマザー・グースなら、フランスではこの「ゆかいな牧場」。
1930年台の出版ですが、普遍的な価値観を持っているからいて今でも愛されている名作です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回をお楽しみに!! A bientôt!!
和泉 涼
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