「悪魔は本当はいいヤツだった」トーマス・ピエト(未邦訳)【洋書レビュー】
こんにちは。和泉 涼です。今日は悪魔にインタビューしたパリの新聞記者のお話をご紹介します。
あらすじ
印象は感動的でみずみずしい処女作。
天国?地獄?昔から存在こそ知られていますが、実際どこにあるのでしょう?パリの新聞社に勤めるエゼキエル・ユルソは悪魔に連絡を取ろうとすること2年。その悲願が叶って悪魔が彼ら記者団を地獄へ招待します。
悪魔に会ったエゼキエルたちは度肝を抜かします。悪魔といえば昔から恐ろしい姿で人間を堕落させる邪悪な生き物、という印象がつきまとっています。
でも彼らを出迎えたのは優しく思いやりのある男性でした。彼らを見下すどころか友だちのようにもてなしてくれたのです。
ルシファー、通称ルルは、彼らに世界の本当の姿について話します。それも証拠まで添えて。
悪魔って本当はいいヤツなんだ!
この驚くべき事実を世界中の人たちと分かち合いたいという熱い思いが湧き上がります。
でも人間たちはこの奇想天外な話を信じてくれるのでしょうか?
作者について
作者のトマス・ピエト氏は音楽療法士。彼は中国の伝統的な医学を学び、自然分娩にも関心を持っています。次の記事をご覧ください。
出版社 小説キウィ出版
キウィ出版の本を手に持ったのは今回が初めてのこと。他社と比べて幅が0.8cm 〜1.3m 広くて、メモを撮る時など、本を開いたままにしておきたいときなどに扱いやすい点が気に入りました。
出版情報
原題「 Le Diable est un Mec Bien」
出版社は「小説キウィ」。2021年3月出版。361ページ。
感想
作者は音楽を使って体の中で調子が悪い部分の回復を手助けしたり、価値判断を下さずに優しく接して人間の体が生まれながら持っている生命力を信頼する治療を重んじる人。
長年日本に住んでいると大昔に中国から伝わった教えのことも多少心得がありますが、日本にも自分の中心を見つけることで世界と調和を保つ教えが伝わっています。
でも人生は慌ただしいものです。突然急なカーブを描いたり、ストレスをかけてくることもありますよね。何よりも世の中は回っていて止まることを知りません。
その中で私たちはときに一時停止ボタンを教えて息抜きをしたいと思ったりしますよね。ほんの一瞬でいいから。
こんなことを言うと周囲から妙に気を遣ってくれたりしてよけいにプレッシャーを感じることもあります。
だから愛が必要なのです。互いを気遣い、理解する愛さえあればお互いに労り合うことができるし、その愛の輪を広げることによって世界に愛の輪を広げることにつながるのです。
少なくとも私に伝わってきたメッセージはこんな感じでした。最初に申し上げたように、とてもみずみずしい小説です
話の展開が急すぎて分からなかった、という方はとにかく読んでみてください。もちろん和訳が出てからになるでしょうけれど。
思うに読む人によって感じ方も少しずつ違ってくるとと思います。
この小説が出てから3ヶ月。「映画になればいいね!」って言ってくれる読者が増えているそうです。
Izumiは個人的に映画化もいいと思いますが、実はマンガにも向いているのでは?と思っています。
マンガって 生き生きした表現で、オペラの題材になるようなスケールの大きいテーマがぴったりですよね?悪魔の意外な姿をテーマにしたこの作品にぴったりだと思います。
そうやってヨーロッパ、米国、アジアへ。そして日本にも上陸するといいなと思います。
お察しのとおり私はこの小説がとても気に入りました。
作者デビューを飾るのにふさわしい力作です。次回作に大いに期待しています。
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