【レビュー】洋書”Des Chrétiens et de Maures” par Daniel Pennac(未邦訳)
ストーリー
「パパに会いたい」。ある朝ベビーが宣言した。パパに会うまで何も食べないつもりらしい。
ベビーはマロセーヌ一家の7番目の赤ん坊。
ここだけの話マロセーヌ家の子どもたちはみんなパパが違う。ほかのパパたちの消息ならママがちゃんと知っているのに、ベビーのパパだけは消息が分からない。
3日目になるとベビーはだんだん薄っぺらくなって透けて見えるようになってきた・・、少なくともそんな気がしてきた。何でもいいから一口でいいから食べてほしいけど、口を一文字に結んで開けようとしない。
死ぬ気でパパに会うまで食べない覚悟なんだー長男で大黒柱のバンジャマンは悟った。そしてベビーのパパの消息を探しようがないことも分かっているだけに・・・。
モチーフ
ジェローム・チャリンの推理小説「アイザック・サイデル」シリーズが登場します。ジェローム・チャリンは1937年ニューヨークのブロンクス生まれのアメリカの推理小説家。ニューヨークを舞台にした刑事シリーズが有名。
本作品をダニエル・ペナックが「アイザック・サイデル」シリーズへのオマージュとして発表。1996年にジェローム・チャリンはこれに答えて、ルモンド紙に”Call me Malaussene"「名前はマロセーヌ」を掲載した。
まとめ
8人の異父兄弟のマロセーヌ一家のドタバタ&ハードボイルド・コメディ。今回はアメリカの作家ジェローム・チャリンの作品と強く関わる人物が現れて、純フランスの物語にちょっぴりアメリカ味のチェリーのトッピングついた豪華版。
残念ながら未邦訳ですが、機会があればぜひ読んでいただきたい作品です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次回をお楽しみに!! A bientôt!!
和泉 涼
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