アントワーヌ・ローラン&ル・ソナール”Et mon coeur se serra” audebookインタビュー(完全訳)
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読者のみなさん
人気作家のアントワーヌ・ローランさんと日常を詩の領域まで高めるのがお得意のル・ソナールさんが交差型のインタビューに応じてくれました。
お二人は2月3日にフラマリオン社から ”Et mon cœur se serra”『心が泣いた』を出版されたばかりです。
💫”Et mon cœur se serra”『心が泣いた」は普通の小説とどう違うのでしょうか?
ル_ソナール(以下・LS)めざしたのは挿絵入りの小説ではなくて、イラストと文章による小説です。
アントワーヌ・ローラン(以下・AL) このテーマで、確かに文字だけで300ページの小説を書くこともできるかもしれない。僕たちがチャレンジしたかったのは、それをイラスト129点と文章28点の組み合わせで書くことだった。この本を読み終わった後も読み返してみたり、気に入ったイラストだけを眺め返すことだってできる。心に残った文章やイラストだけを後から楽しめるのが最大の強みです。
💫執筆はロックアウト中にされましたか?
AL いいえ。
LS 執筆はどちらかというと2つのロックアウトの合間でしたね。
💫アイディアはどこから湧いたのですか?
AL 一緒に本を出そう!を出発点にして、いっしょに参加できるプロジェクトのアイディアを出し合ったときに思いついたんだよね。
LS イラストと執筆の架け橋、という発想かな。もともとお互いの世界は芸術的な面、感受性の面で共通点も多いから。
AL 僕は長い間一人称の物語を書いていなかった。想像上の「私は・・」の語りは、物語に真実味を与えるところが醍醐味。日記のような文面に、イメージを視覚的に捉えたイラストが呼応するスタイルに惹かれたんだ。愛を逃したり失った気持ちは身近に感じてもらえるからね。
LS そう、愛に国境はないからね。たくさんの人が共感できるものだから、そこにちょっとだけシュールで一風変わった感じを加えたかった。
💫 ル_ソナールさんとの出会いは作品に出てくる通りでしたか?
LS そういう出会い方もありだと思うけど実際は違ったね。
AL ル_ソナールがギャラリーで個展を開いている時に知り合ったんだよね。酒を飲みながら世間話をしたのを覚えている。
LS そうやって本当の友情が生まれことも多いよね。
💫共同作業はどうやって進めたのですか?例えばローランさんが書いた文章にル_ソナールさんがイラストをつけられたのですか?
LS いや、イラストが先行したんです。ちょうど最新作のイラストが仕上がったばかりで、ふと「これに文章を合わせるたら?」と考え始めたのがきっかけだった。
AL 単なるイラストへのコメントではなくて、イラストの視覚的な世界に合う文章をつけるのがポイントだった。簡単に言えば「別の形のナレーション」かな。イラストのミステリアスな面、イラストが持つ詩的な要素やイラストが象徴するものが感じられるような文章。そう、パズルのピースが見た目は違うのに完璧にはまるのと同じようにね。
💫イラストの意味はどんなことを表していますか?例えばハシゴは何を表していますか?
LS ハシゴは手が届かないものを表しています。ハシゴは我々が歩く土台。決してありふれたものではありません。そして目的に向かって歩くときの必需品でもあります。主人公はハシゴを持って愛の探求に出かけますが、お助けアイテムのはずのハシゴが長すぎたり短すぎたりして、主人公が直面する問題を乗り越えるには決して理想的とはいえない。ドンキホーテの槍のようにね。品格を損ねるようではいけない局面ですからね。
💫赤と黒の色にどんな意味がありますか?
LS この物語の主役の色は赤と黒ではなくて「白」なんです。白く塗り残された空間はイラストを浮き彫りにして、影や足りないものを醸し出しています。同様に独特のレイアウトによって文章をも浮き彫りにしていきます。白はいたるところにあって、空白や欠けているものを表しています。愛する女性を探求する物語を語るのに理にかなった道具なのです。イラストが語る物語では、赤は重要な脇役です。思い出と希望、目的たどり着くであろう終着点。そして主人公が追いかけている愛そのものでもあります。
💫 本のレイアウトにはどのような意味が込められているのでしょうか?一つひとつのことばは詩を連想させますが、文章全体は小説だとお考えですか?
AL そもそも作りたかったのは、整合性があって、それでいてちょっと思いつかないような「美しい作品」でした。
LS 散文で書かれた詩のような小説です。絵と文章が対話する空間であり、挿絵が入った小説とは違う。ちょっと改まったことばが散りばめられていますが、心ある人に納得していただける内容だと思っています。
AL 読者のみなさんには、難しく考えずに最初から最後まで読んでもらって、その後に心に広がるいろいろな思いを楽しんでいただけたら、こんなに嬉しいこととはありません。
インタビュー・筆:audebook@instagram
邦訳:和泉 涼
2021年2月7日
今回の記事にご協力くださったAudebookさんに心から感謝申し上げます。
ありがとうございました!
この最後までお読みいただき、ありがとうございました。
それでは次回をお楽しみに!! A bientot!!
和泉 涼
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