【レビュー】「人喰い鬼たちのお愉しみ」著・ダニエル・ペナック

あらすじ(ロマン・ノワール)

バンジャマン・マロセーヌは6人兄弟の長男。恋人を追いかけて不在のママと、6人の弟や妹たちと愛犬ジュリウスの、8人家族の「長」。仕事はデパートの苦情処理係。

どんなに怒り狂って怒鳴り込んできた客も、得意の派手な泣き落としを見ると商品の交換だけすればおとなしく帰ってくれる。

あるクリスマス・イヴ、デパートのおもちゃ売り場で爆弾が爆発する。それもマロセーヌが通った後に。

その後また別の売り場でマロセーヌが通った直後に爆弾事件が発生する。そして3件目もマロセーヌが通った直後に・・・。容疑者No.1にマロセーヌの名が上がる。

無実を証明するため、なぜか「ジュリアおばさん」とよんでいる新聞記者でガールフレンドのジュリアと調査に乗り出す・・・。

テーマ 

兄弟愛・家族愛

「スケープゴートのプロ」と自負する主人公のバンジャマン・マロセーヌは一家の長男。といってもパパは不在。今回も兄弟たちの世話を押し付けて、ママは恋人を追いかけて行ってしまった。

デパートの仕事を終えて家に帰ると、弟たちの宿題を見てやり、そのあとその日のできごとを元にしたお話を聞かせて寝かしつける。慌ただしいが彼なりに幸せを見出している。

兄弟たちは個性派ぞろい。看護師のルナは、医者のローランとロマンス中だったが妊娠が分かって動揺する。恋人のローランももっと動揺してバンジャマンに相談する。

お気に入りのクララは、何でも写真に撮ってしまうちょっと変わった女の子。

霊感が強いテレーズはいつも悪いことを予言している。

ジェレミーはお兄ちゃんの役に立ちたくて仕方がないやんちゃざかり。バンジャマンが爆弾事件で疑われていると知って、犯人が爆弾をどうやって店内に持ち込んだかを解明する。

まだ赤ちゃんの末っこは人喰い鬼の夢を見はじめた・・・。

マロセーヌ家はいつもがやがやと賑わっているが、妹・弟たちはみんなお兄ちゃんを尊敬している。バンジャマンも弟・妹たちの幸せが自分の幸せと、一人ひとりを心から愛する優しくて頼れるお兄ちゃん。

日本語への翻訳 

この作品はドイツ語、イタリア語をはじめ数十ヶ国語に翻訳されました。

日本語版

「人喰い鬼たちのお愉しみ」(白水社、1995年)のタイトルで翻訳されました。

翻訳は中条省平。

作者Daniel Pennacのプロフィール

1944にモロッコのカサブランカ生まれ。タクシーの運転手、イラストレーターをへて1969年に中等教育の国語教師として教壇に立つ。

1985年にロマン・ノワールの「人喰い鬼たちのお愉しみ」で作家デビュー。

1995年から執筆活動に専念する。

「マロセーヌ」シリーズのほか作品多数。世界10数カ国で翻訳されている。

子どもの頃は本を読むより朗読に親しんでいたとして、オーディオブックの普及に尽力しており、自らの作品の朗読も多数手がけている。

作者の他の作品

小説

  • Au bonheur des ogres, 1985

『人喰い鬼のお愉しみ』(中条省平、白水社、1995年)

  • La fée carabine, 1987

『カービン銃の妖精』(平岡 満訳、 白水社、 1998年)

  • La petite marchande de prose, 1989

『散文売りの少女』(平岡敦 訳、白水社、 2002年)

  • Monsieur Malaussène, 1995

『ムッシュ・マロセーヌ』(平岡敦 訳、白水社、 2008年)

  • Des chrétiens et des maures, 1996 「キリスト教徒と異端者たち」未邦訳
  • Aux fruits de la passion, 1999 「情熱の実り」未邦訳

カモ少年の冒険シリーズ

  • Kamo, l’idée du siècle, 1993 「カモ、世紀のアイディア」未邦訳
  • Kamo et moi, 1992 「カモとわたし」未邦訳
  • Kamo: L’agence Babel, 1992 

『カモ少年と謎のペンフレンド』(中井珠子 訳、 白水社、 2007年)

  • L’Évasion de Kamo, 1992 「カモの逃亡」未邦訳

児童書

  • Cabot-Caboche, 1982

『気まぐれ少女と家出イヌ』(中井珠子 訳, 白水社, 2008年)

  • L’œil du loup, 1984

『片目のオオカミ』(末松氷海子訳、 白水社、 1999年)

  • Le Roman d’Ernest et Célestine, 2012

 ガブリエル・ヴァンサンのErnest et Célestine(邦題「くまのアーネストおじさん」)シリーズを元にしている。

その他の小説

  • Les Enfants de Yalta, 1978
  • Père Noël, 1979
  • Messieurs les enfants, 1997

『子ども諸君』(平岡敦 訳, 白水社, 2000年)

  • Le Dictateur et le Hamac, 2003
  • Merci, 2004
  • Chagrin d’école, 2007

『学校の悲しみ』(水林 章訳、みすず書房、 2009年)

  • Journal d’un corps, 2012

エッセイ

  • Le Service militaire au service de qui ?, 1973
  • Comme un roman, 1992

『奔放な読書 本嫌いのための新読書術』(浜名ゆみ, 浜名エレーヌ, 木村宣子 訳, 藤原書店, 1993)新装版『ペナック先生の愉快な読書法 読者の権利10ヵ条』(藤原書店, 2006)

  • Gardiens et Passeurs, 2000
  • Mon frère, 2018

共著

  • Les grandes vacances, 1994

『ル・グラン・ヴァカンス』(辻宏子 訳、トレヴィル、1994年)ロベール・ドアのーと共著。

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まとめ

学校で教えながら執筆していたダニエル・ペナックは子どもの気持ちにたった語りなど違った視点から見たことをその視点から表現するのが得意な作家。この機会にお読みいただければと思います。

最後までお読みいただき、あリガとうございました。

次回をお楽しみに!!

和泉 涼

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