影の歌姫 セブンシスターズ第2巻 著/ルシンダ・ライリー
こんにちは。和泉 涼です。いよいよ7月到来!夏本番です。今日はルシンダ・ライリーの超大作の2作目の小説をご紹介します。日本名『影の歌姫』です。
あらすじ
エーゲ海2007年6月。アリーことアルシオーネはパー・ソルトが養女に迎えた6人の娘の次女。ジュネーブのレマン湖のほとりの古城アトランティスで5人の姉妹たちとなに不自由なく育ちました。
アリーが恋人のテオと二人きりのクルージングを楽しんでいると突然養父の訃報が入ってきます。彼女は悲嘆にくれる間もなくアトランティスへ戻ります。
アリーは幼少の頃から様々な才能に恵まれていました。それは生まれついての音楽の才能とパー・ソルトから伝えられたクルージングの才能。彼女は大学で音楽を学んだもののプロ・クルーザーの道を選びました。そして30歳の今、押しも押されない名クルーザーの名声をほしいままにしていました。
彼女のチームは世界的に知られる名スキッパーのテオの指揮のもと英国中で有名なレガッタで優勝を収めたばかり。すでに国際試合への出場が決まっていました。その合間に二人は互いに惹かれあっていることに気づき数日間二人きりでテオのヨットで短いバカンスを楽しんでいました。
そんな愛の時間も束の間、養父の訃報が飛び込んできます。次女のアリーはアトランティスに戻ると長女マイアの補佐役を見事にこなし姉妹たちを励まします。ところが運命のいたずらでアリーはさらに深い家内しみに埋もれていきます。
パー・ソルトが残してくれた手がかりを辿ると、アリーはノルウェーのフィヨルドに面した古い町ベルゲンに行きつきます。そして20世紀の初めに若き作曲家エドワルド・グリーグが有名な組曲「ペール・ギュント」を書き上げたばかりの時代へ導かれ…。
感想
大好き!!
セブンシスターズの第2話は再び運命に翻弄される家族や引き裂かれる恋人たちの物語がつくる壮大な物語が待ち受けています。主人公アリーはスイス人の若い女性。ノルウェー語も理解できないのに自分のルーツを見つけることができるのでしょうか?彼女の誕生の秘密とは?パー・ソルトはどうやって自分を見つけてくれたのでしょう?
ワクワクはらはらの連続のジェットコースター気分で楽しめる小説です。
嵐の歌姫について(エッセー)注意:物語の手がかり満載です
セブンシスターズのシリーズは2006年に初版が出たシリーズ。プレイヤデス星団の伝説をモチーフにする小説です。
プレイヤです星団は夜空で一番輝いて見える星団。星雲の中に明るい恒星がくっきりと見えます。ギリシア神話には夜空の星の動きにちなむ神話がありプレイヤデス星団の物語もその一つ。ところが驚いたことに同じ星団をモチーフに神話を伝えているのはギリシア神話、ローマ神話に限らず南米やオーストラリアにも見られます。
作者ルシンダ・ライリーはそれらの神話を丁寧に研究しそれにちなんだ物語を紡いでいき、それがシリーズ全体の物語を形作っていく、という壮大な構造をしています。もちろん最終的に行き着く疑問はパー・ソルトは一体何者だったのか、なぜこの6人の赤ん坊を選んだのか、7人目の娘はいないのか?というところになろうかと思われます。
今はただこの素晴らしい物語に身を沈め楽しんでいきたいと思っています。
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